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名古屋高等裁判所 昭和40年(う)228号 判決 1965年8月17日

主文

本件各控訴を棄却する。

理由

<前略>よつて案ずるに原判決挙示の証拠特に、証人岡本金次郎及び同中根武臣の原審公判廷における各供述、被告人水野の検察官事務官に対する昭和三九年六月四日附供述調書によれば、本件マイクロホン(以下単にマイクと称する)付ギターは、普通のギターの胴に数個の穴をうがち、これにマイク(ボリウムボタン、コード等の附属品を含む)を取り付けたものであつて、その取付により、普通のギターよりも、音響効果等が著しく増大し、その性状、機能、用途において、電気ギター本来の重要な特性を発揮するとともに、被告人会社においても、これを電気ギターと命名のうえ販売しており、名実ともに電気ギターであるばかりでなく、これからマイクを分離してしまえば、ギターの胴には前述の穴が残つて、原ギターよりも外見上見劣りがするきず物となり、またマイク特にその配線コードの如きは、消耗品的なものであり、いずれも使用済み材料として、その商品価値が未使用のものの商品価値よりも、可成り下落することを認め得るから、本件マイク付ギターは普通のギターとマイクとを材料に使用して、新たに製出された原ギターとは別個な電気楽器の一種であり、これを昭和三一年六月三〇日政令第二二五号により改正された物品税法施行規則別表第二種丙類第一五号イ、ホ(その根拠法律、昭和三七年三月三一日法律第四八号物品税法附則第一四条、同法律による改正直前の物品税法第一条第二種丙類一三)、昭和三四年四月二一日政令第一四四号により改正された物品税法施行規則別表第二種丙類一三イ、ホ(根拠法律前に同じ)、昭和三七年三月三一日政令第九九号物品税法施行令第二条別表第二の九イ、ホ(その根拠法律、同日法律第四八号物品税法第一条別表第二種第三類一六イ、ホ)の各イにいわゆるギターと称すべきではなく、各ホにいわゆる電気ギターと称すべきものである。然らばこれと判断を同じくする原判決の事実認定並びに説示には誤りがなく、これを普通のギターと電気ギターとの併存であるとする所論は、物品税の右法規上不当として排斥するの外ないのである。而して原判決挙示の証拠を総合すれば、被告人水野が被告人会社の業務に関し、政府に申告をしないで、岡本金次郎をして電気ギターを製造させたとする原判示罪となるべき事実は、これを認めるに十分であり、記録を精査しても、原審の右事実認定に誤りを認め得ないから、論旨は理由がない。<以下省略>(上田孝造 堀端弘士 藤本忠雄)

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